〜外と内を、隔てるともなく仕切る不思議な建具〜




 障子も襖と同様、寝殿造から生まれた。引き戸の襖が使われ始めた平安時代なかば、木の組子に薄い紙を張った明かり障子が作られた。柱の間に三本の敷居溝を設け、二枚の遣り戸と一枚の障子をはめて光や風を取り込む様式は、室町時代になって和紙の生産量が増えたことから全国に普及していった。
 紙は古墳時代に中国から輸入されたのが最初だが、国内での製紙技術は中世になって進展。楮やみつまた、がん皮など豊富な繊維素材に恵まれたこともあり、薄くて丈夫な和紙が全国に普及した。
 組子は細く製材した木材に組手と呼ばれるへこみを作って組んでいく。そのパターンは荒いものから細いものまで幾種類もあり、職人による繊細な技術が発揮されてきた。